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低周波治療器とは
リハビリの治療器の代表的なものとして低周波治療器というものがあります。
リハビリに通ったことのある方は皮膚に直接複数のパッドをくっつけそこからびりびり電気が来るのをしたことがあることだと思います。
最近では家庭用の簡単な低周波治療器も多く販売されていてなじみの方も多いと思われます。
歴史は250年以上前からある
人体に電気を流すという治療はなんと250年以上前からあります。
平賀源内が再現したエレキテルはもともとオランダで発明されたもので1750年ごろオランダ人より江戸幕府に献上されたといわれています。
原理はガラス瓶と緊迫を貼った和紙との摩擦をいわゆるコンデンサーのような構造に蓄電して見世物や人体には電気ショック治療として通電していました。
電気治療器として医療機関に設備されたのは戦前からでその後電子技術の発達に伴い複雑な周波数もつ低周波治療器として発展してきました。
もともと人体の痛みは神経細胞の刺激によりイオンの均衡が乱れ、電気的性質が細胞の内外で入れ替わることによって脳に伝わります。
つまり人体の痛みと電気は切っても切れない関係があるのです。
主な作用は鎮痛
皮ふに微弱な刺激を与えることによって深部の痛みを取ることができます。
これをゲートコントロール理論といいます。
昔から治療のことを手当てといいます。
また例えば机の角で向こうずねを打ったりしたとき無意識に手で擦りませんか?
おまじないはありません擦ることによって確かに痛みは和らぎます。
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痛みは細い神経線維を伝わり脳に伝わります。
その際脊髄の膠様質にあるSG細胞に太い神経線維を伝わってくる皮膚からの高度な触覚などの刺激により痛みの刺激は抑制されるのです。
つまり、SG細胞は門番のようなもので皮膚からの刺激で痛みの刺激の伝わりを「とうせんぼ」して脳に伝えなくするのです。
様々な低周波治療器がある。
現在は医療器メーカーがしのぎを削り様々なコンセプトの低周波治療器を開発しています。
基本的な形は家庭用でよくわかります。低周波電流を発する本体と導子と呼ばれる肌につけるものが2つあります。
電気ですから1つの導子では流れません最低2つ必要です。これが低周波治療器の基本形です。
低周波治療器の初期は直流パルスを用いていました。つまり電流は一方通行でプラス側とマイナス側と導子が分かれていました。
ただの直流電流では皮ふにほとんど刺激はありません。もちろん電流が大きくなると熱を感じたり最悪やけどにまで至ります。
その電流を断続、または波の形で流すことによって少しの電流で皮膚に刺激が加わるようにしたものが低周波治療器なのです。
初期はパルスの波形が下のようになっていました。断続的に電流を流しその数が1秒間に1000回以下のものが低周波治療と呼ばれます。
その後このタイプのものは電流を大きくすると痛みが出ます。
そこでパルスをいきなり流すのではなく緩やかな波として流すことによってある程度の電流を流しても痛みが少なくなりました。
見た感じも角が取れて痛みがなさそうに感じます。
しかし従来の一方通行の電流では導子のプラス側とマイナス側で感じ方が違うのです。
確かマイナス側のほうが強く感じたと思います。
導子によって感じ方が違うと治療に際していろいろ不都合が出てきます。
そこで登場したのが交流電流による低周波です。
プラス側とマイナス側が交互に流れるので端子によっての感じ方は全く同じになります。
もう一つの効果はマッサージ効果
現在は家庭用の低周波治療器でもこのタイプになっています。
低周波電流は筋肉の収縮を起こしそれにより血行が良くなりいわゆるマッサージの効果もあります。
こうやって低周波治療器はリハビリの主役として進化してきました。
一時期SSPと言って電気ハリ治療と同じ効果がのぞめる低周波治療器が出現して我々理学療法士の手を煩わせました。
導子がいっぱいあって作業に時間がかかるのです。導子の固定は導子自体が吸盤になっており肌に吸い付くので簡単に固定できます。
しかし吸引力を強くするとキスマークのように跡が残り調整が微妙です。
こういう機械を見たら電気ハリ治療と同じ効果があるんだと思ってください。
低周波パルスは周波数が高いほど直流電流に近くなり効果があります。
1000ヘルツ以上の周波数の電流を流すものを中周波治療器といいます。
低周波より鎮痛作用に優れているのですが、治療感覚が少なく患者さんにが満足するような感じ方の電流を流すにはかなりの電流を流さなければならなくなります。
干渉波治療器とは
そこで開発されたのが干渉波治療器です。
中周波治療器の進化系で微妙に周波数の違う中周波をを複数体内に流すことによって体内で干渉が起き刺激が低周波のような感じ方になるのです。
つまり水面に二か所から波を起こすと二つの波が重なったところに別の波ができるのと同じことです。
これにより中周波の治療感の弱さが改善され、気持ちよく効果がある電気治療が可能になりました。
このような大きな吸盤が付いていれば干渉波治療器だと思ってください。
低周波治療器は治療中かなり気持ちの良いもので除痛にはかなりの効果が望めますがあくまで対症療法だと認識してください。
例えば膝の腰の関節の変形が治ったり、物理的な変化は望めません。
ただ、麻痺に対しては効果が認められると文献にはあります。
病院のリハビリで使われる理由
先ず医師が作業しなくても私たち理学療法士や看護師が患者さんに取り付けできます。
取り付けた後はほったらかしでついている必要はありません。
人件費の節約になります。
それに何より気持ちがいいので集客につながります。
患者さんはこれを目当てに毎日来院する方もおられます。
ただ衛生面でちゃんとしている病院を選びましょう。
導子は水分を含んだスポンジでできています。
当然患者さんは汗をかいたりしますので導子も不潔になりがちです。
私のいたリハビリでは頻繁に洗浄して使っていました。
しかし本当のところ患者さん毎に取り換えるということはなかなか無理です。
病院によってはほとんど水を加えるだけで洗浄しないところもあるかもしれません。
昨今のような新型コロナウイルスが蔓延しているような状況ではなおさら清潔の維持が求められます。
それはリハビリに勤務する職員の意識の高さによるでしょう。