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非変性Ⅱ型コラーゲンは本当に膝に効くのか

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非変性Ⅱ型コラーゲンは本当に膝痛に効くのか

あれだけ、CMでもてはやされて各メーカーがこぞって関連製品を販売していたグルコサミンとコンドロイチン。

サプリメント業界に資金を依存しないスイスのベルン大学社会予防医学研究所の研究結果では以下のように結論付けています。

グルコサミン、コンドロイチン、およびそれらの組み合わせの経口投与は、関節痛を軽減したり、関節腔の狭小化に影響を与えたりしません。さらに、これらの製品に対して保険当局や健康保険会社は資金提供するべきではないとし、新たな患者にこれらを処方することは止めるべきとさえ結論付けています。

めっきり減ってきたグルコサミンやコンドロイチンのCMですが今度は代わりに「非変性Ⅱ型コラーゲン」なるものが登場し、TVショッピングを賑わせています。

「関節軟骨の成分は本当はコラーゲンだった」などと堂々と宣伝し、じゃ今までのCMはいったい何だったんだとツッコミたくなります。

これも同じ穴のむじなじゃないの?」とつい思ってしまうのは仕方のないことです。

ところがこの非変性Ⅱ型コラーゲン良く調べるとタダモノではないらしいのです。

2013年10月24日の国際スポーツ栄養学会誌に掲載された論文には次のように結論づけられています。

非変性Ⅱ型コラーゲン 40 mgの毎日の摂取は副作用が極めて少なく、健康な被験者が強い運動後に膝関節の進展範囲が狭まった際の伸展の改善につながりました。非変性Ⅱ型コラーゲンはまた、長時間の痛みのない程度の激しい運動をした後に時折生じる関節痛を緩和する可能性を示しました。

この実験は無作為化二重盲検プラセボ対照試験で行われました。

無作為化二重盲検プラセボ対照試験とはプラセボ(姿、形、重量、味、臭いなどが全く本物と同じで全く薬効の無い無害なもの)と薬効のあるとされる本物を被験者のグループを無作為に2分割し片方にはプラセボを与えもう片方には本物を与える試験でかつ、そのグループ分けの詳細を被験者も実験者も両方に知らせないという実験です。

実験者にも知らせないのは実験者が潜入観念を持って実験結果を分析しないためです。

まず、関節炎や安静時の関節痛の既往はない健康な被験者に標準的なステップミルパフォーマンステストしてもらいます。

ステップミルパフォーマンステストとはいわゆる踏み台昇降を一定時間やってもらうテストです。現在は踏み台ではなく非常に短いエスカレーター様なマシンで行います。

その後テストを受けた中で膝に痛みを生じた人55人を無作為にグループ分けしプラセボと非変性Ⅱ型コラーゲン(40 mg毎日)製品をそれぞれ120日間のむことになります。

効果の判定は膝の屈曲と伸展の程度の変化、と激しいステップミル運動後の関節痛を経験し回復するまでの時間を測定することにより評価されました。

その結果非変性Ⅱ型コラーゲンのグループは全てにおいてプラセボ群と比較すると有意な結果が認められたのです。

これはスポーツ栄養学会の実験ですので健康な人が激しいスポーツ後の膝痛に対して非変性Ⅱ型コラーゲンが効果があることを証明したものです。

しかし、非変性Ⅱ型コラーゲンが膝痛に対して炎症を抑制する作用は証明されたわけで、これは変形性の関節症などに対する有意な作用につながる可能性も十分考えられます。

そもそも非変性Ⅱ型コラーゲンは簡単に言うと「痛みや炎症と戦う物質を体内に生成することで機能する」といわれていますがまだ科学的照明がなされていません。

今後の研究が期待されるところですが、今のところ機能性表示食品としての立ち位置なわけで、できることなら保険薬としての研究開発が望まれるところです。

 

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