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整形外科医の見解「グルコサミンやコンドロイチンを摂っても軟骨には作用しない」
今やテレビのCMはサプリメント花盛りです。
しかしCMは薬事法や消費者庁の縛りがあり使ってはいけない言葉や表現があります。
グルコサミンやなどのCMで軽やかに階段を上がるお年寄りを見たことがあるでしょう。
しかし、決して「悪かった膝が治った」、「良くなった」、「痛みがなくなった」とは言っていません。
これはサプリメントがあくまで食品であり、医薬品でない以上その効能などを謳ってはいけないからです。
だからグルコサミンのTVCMなどは絶対に膝が良くなるなどという表現は間違ってもできないのです。
しかし、メーカーはイメージ映像であたかもサプリメントのおかげで元気に歩いている。つまり膝の関節に効いたのだというイメージを消費者に与えます。巧妙に仕上げた映像で法的にはセーフな表現で最大限に錯覚させるような手法をとってきます。
母のかかりつけの整形外科で先生に質問しますと「グルコサミンやコンドロイチンは、経口摂取では消化の際にアミノ酸に分解されるので膝関節に対しては意味がありません。また、もし劇的に効果が望めるものならば製薬メーカーが医薬品として開発し保険適用になるし病院で処方しますよ。」と言われました。
母は某軟骨サプリに大金をつぎ込み失敗した。
私の母は〇〇とかいう軟骨サプリを2年間飲みました。
TVのCMにつられて購入したのでしょうけど、結構高価なので家族には内緒にしていたようです。
しかし最近膝がひどく痛くなり、整形外科で見てもらったところ膝関節が変形しており、軟骨もすり減っているとのことでした。
「ずっとサプリメント飲んでるのに」と母は激怒し、会社の方へクレームの電話をかけました。
相手は若い女の子だったそうです。
もともと母の膝は正座ができ長歩きした時に若干の痛みがあった程度でご近所に誘われて予防のために始めたようなのです。
それが2年間続けたのに余計悪くなったと受付でクレームを言ったところ、
「効き目や効くまでの期間には個人差があります。また、このサプリメントはあくまで健康を増進させるもので膝に対して特別な効能を謳っているわけではありません」とのことでした。
怒った母は「もう飲みませんから送らないでください」と断ったところ。
「少々お待ちください」と言われ、すぐ男の人に変わったそうです。
男の人は「こういうサプリメントはゆっくりと効いてくるものです。せっかくここまで続けたのに今やめると今まで飲んだことが無駄になりますよ。もう少し様子を見てみてはいかがですか?」と今までの投資が無駄になるぞとばかりに証券会社のように引き止めます。
母はよほど腹が立っていたのか「今後送ってきたら受け取りませんから」と電話を切ってしまいました。
その後、商品は届いてないようですが、定期的に会社から電話がかかってきてうっとおしいと悔やんでいました。
テレビでガンガン宣伝しているサプリメントはおおむねこんなものです。
宣伝費とクレーム処理にお金をかけている商品はできるだけ買わない方が正解でしょう。
何事もそうですが自分のお金を使うときは慎重に調べて安易な宣伝に惑わされないことが大事です。
グルコサミンやコンドロイチンは特定保健用食品(トクホ)ではない
特定保健用食品とはからだの生理機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりするのに役立つ、などの特定の保健の用途に資する旨を国の審査を受け許可されることで表示できる食品をいいます。
現在表示が認められている効果は次のものに限られています。
お腹の調子を整える食品 |
血圧が高めの方に適する食品 |
コレステロールが高めの方に適する食品 |
コレステロールが高めの方、お腹の調子を整える食品 |
血糖値が気になる方に適する食品 |
ミネラルの吸収を助ける食品 |
ミネラルの吸収を助けおなかの調子を整える食品 |
血中中性脂肪や体脂肪が気になる方の食品 |
血糖値と血中中性脂肪が気になる方の食品 |
虫歯の原因になりにくく歯の健康維持に役立つ食品 |
骨の健康が気になる方に適する食品 |
体脂肪が気になる方コレステロールが高めの方の食品 |
肌が乾燥しがちな方の食品 |
それぞれの項目について関与成分(有効な成分)があります。
この項目の中に膝の「軟骨が気になる人の食品」という項目は残念ながらありません。
したがって、グルコサミンやコンドロイチンは特定保健用食品の関与成分ではないのです。
つまり国はグルコサミンやコンドロイチンが膝の軟骨の健康に有効であるとはまだ認めていないのです。
ただし、コンドロイチンは膝などの痛みの緩和に薬効があるとして薬品として認められています。しかし、それは膝の軟骨の再生によるものではないとされています。
グルコサミンとコンドロイチンの効果は世界中でも議論が分かれる
グルコサミンやコンドロイチンなどによる膝軟骨に対する効果は世界中で議論の的になっています。
効果があるというグループや効果なしとするグループ、鎮痛効果は認められるが軟骨に対する効果は疑問視するグループと様々です。
それはグルコサミンやコンドロイチンはサプリメントとしての大きな市場があり御用研究者など利害関係で様々な要因が入り組み本当のところがなかなか実証できないのではないかと思われます。
整形外科の分野から見れば関節サプリは商売敵であり効果があるということはできませんし、サプリ業界からすれば権威のある研究者を抱き込んで効果を正当なものとしたいでしょう
しかし軟骨再生というのはちょっと無理だと思います。世界中で軟骨の生物工学的再生の研究がおこなわれている中、サプリメントで軟骨が再生されるとは思われないからです。ただし軟骨の加齢による減少を遅らせることは可能だと思います。しかしそれも微々たるものではないでしょうか。
軟骨系サプリメントは適正価格なのか
コンドロイチンにしろ鎮痛効果は認められて薬品として販売しているのに宣伝ではあたかも軟骨が再生されるような錯覚を覚えてしまいます。薬品なら「軟骨が再生されます」と効果が謳えるのにそれをしないということは再生されないからなんでしょうね。
法には触れないけど見ているとそんな気がしてくるCM。これは錯覚商法ですね。購買層が高齢なだけに悪質な気がします。関節サプリだけではありません。某製薬会社のCMも目に余りますね。効果が過大に宣伝されている気がしてなりません。
しかも、CMでガンガン宣伝している商品ほど価格が高く設定されている気がしてなりません。
まあ最近は良くも悪くもネット社会SNSですぐ拡散されますから。自分で試さなくてもいろいろレビューがあると思います。レビュー自体メーカーの息がかかったものもあるので本物を見極めるには少々コツと時間が必要です。
サプリメントの原価は10%
BS、CS、地上波全体で番組途中に流れるCMのなかには必ず一つはサプリメントのCMが入っているように思います。
ところで同じ種類のサプリメントでも価格がとんでもなく高いものから比較的リーズナブルなものまでいろいろですね。
たとえばDHCなどのサプリメントは比較的安く設定されており、同じ成分でも他社よりかなり安くなっています。
では、高いサプリメントがよく効き、安いものはやはり値段に相応した成分であまり効かないのかというと必ずしもそうではないようです。
それはサプリメントの売り上げの分配率をみればそのからくりが分かります。
まずここに、ある1000円のサプリメントがあったとします。私たちが支払った1000円がどう分配されるか見てみましょう。
100円 | 100円 | 150円 | 150円 | 300円 | 200円 |
原価 | 宣伝費 | メーカー利益 | 中間業者利益 | 小売店利益 | 販売促進の値引き |
合計1000円
ここで宣伝費は、流動的で販売当初は全体の500円になることもあるといいます。
宣伝費が500円になってもメーカー、卸、小売店の利益は確保しなければなりません。つまり、合計利益600円は維持したまま宣伝費を500円にするためには1000円の価格を1400円に設定しなければなりません。
つまり、宣伝を頻繁にしているサプリメントほど割高だと言えるのです。
一方原価についてはどこのメーカーも成分については調達経路や調達価格はほぼ同じです。つまりグルコサミンサプリをとってみれば価格が高いメーカーほど宣伝費にお金をかけているということです。
消費者にしてみれば同じグルコサミンでなぜ価格が安いのと高いのがあるのか不思議に思います。
そこでメーカーはどうでもいいような成分をいろいろ付加して自社の価格設定の正当性をアピールするのです。
良くなっているという人もいる事実がある
たまに軟骨サプリメントを飲んで膝の痛みが良くなったという人がいます。その事実を否定する気は全くありませんが。
フランスの「ルルドの泉」の水は奇跡の水と言われ不治の病が治ったという人の話をよく耳にします。でもこれはたぶんこういうことです。プラシーボ効果といって治ると信じて飲めばその行為が体の治癒能力に働きかけ病気を改善させるのです。小麦粉でも「すごい痛み止めだよ」と言って渡されれば腹痛が良くなったりするのと同じです。
また、サプリメントを飲むぐらいですからその他にも筋力トレーニングとかストレッチとかをやっていて、そちらの効果で改善しているのかもしれません。
そしてたまたま良くなるタイミングだったのかもしれません。良くなった人のエピソードは良くならない人よりより取り上げられ人に広まります。そういったいろいろなファクターがあることをよく自覚してCMに騙されない賢い消費者になりましょう。