元理学療法士の教える健康法

リハビリのマイクロ波治療器について

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私の勤務していた病院は名前は外科病院でしたが整形外科を中心にした治療体系を取っていました。

リハビリには病院の建物ワンフロアー全体を充てていました。

四肢の骨折やお年寄りの脊椎圧迫骨折などはもちろん、関節リウマチや脳血管障害による片麻痺など入院患者さんのリハビリも行います。

外来が終わると病室へリハビリに伺うこともありました。

様々な物理療法機器が備えてあり操作するのも大変です。

また、患者さんからこの機会はどういう効果があるのかどういう仕組みなのかとよく聞かれます。

この際ブログでリハビリの設備についていろいろ書いていきます。

今回はマイクロ波治療器について話していきましょう。

この記事の目次

マイクロ波治療器とは

いわゆる電子レンジの治療器版とでも言いましょうか。

温熱療法の一種です。

電波には周波数により呼び方がありますAMラジオは最高が1600KHzぐらいだったと思いますがMFといいます。

現在のFM放送や以前の地上波テレビはVHFと言ってメガヘルツという単位になります。

現在の地上波はUHFという電波で1ギガヘルツという単位になってきます。1ギガは10億という意味です。

UHFから電波はマイクロ波と呼ばれます。日本語では極超短波です。

電子レンジは2.45ギガヘルツです。

リハビリにおいてあるマイクロ波治療器も周波数は電子レンジと変わりません。

ただ、出力がずいぶん違います。電子レンジそのままの出力で体に当てると大やけどをしてしまいます。

下の画像のようなものがマイクロ波治療器です。

 

これは結構古いタイプで現在は下のような洗練されたフォルムになっています。最新式はもっとタイプが違ってきますがおおむね姿は変わりません。

本体から突き出しているものがマイクロ波を照射するアンテナです。患者さんは充てる部位によって座って治療したりベッドで寝て治療したりします。

アンテナが光るタイプと光らないタイプがありますが効果は全く変わりません。

光るアンテナはアンテナのヘッド部分に蛍光管が組み込まれていて、蛍光管にマイクロ波が当たると電気を流さなくても発光するので仕組みは簡単なものです。

ヘッドは照射中でも全く熱くなりません。常温です。電子レンジでもそうですがマイクロ波は水の分子に当たって初めて発熱します。

水の分子のエネルギーが上昇するのです。

マイクロ波治療器の利点

昔の温熱療法として光線療法は赤外線治療器がありました。赤外線ランプで光線を照射して患部を温めるのです。

しかし所詮温めるのは皮膚表面で表面から伝導する熱で皮下の温熱効果を期待します。

その後遠赤外線治療器が使われるようになり温感が赤外線より長持ちする深部まで暖かくなるという触れ込みでしたが実際は遠赤外線は皮下数ミリにしか到達しません。

ほとんど赤外線治療器と変わりません

そして現れたのがマイクロ波治療器です。

電子レンジでご存じのようにマイクロ波は温めるものの表面と同時に内部も同時に温めます。

また、蓋をしたお吸い物も蓋を取らずに温めることができます。

水分を含まないものは透過します。

したがって衣服の上からの治療が可能になります。

女性にとってはありがたい治療器といえます。

マイクロ波治療器の適応症

マイクロ波治療器の筋肉到達距離は数センチといわれています。

腰痛や五十肩など深部の痛みに対して有効だといえます。

また、膝関節の温熱療法にも効果的です。関節内部を直接温めることができますから。

筋肉の多い場所、肩こりなどにも有効です。

マイクロ波地治療器の禁忌

マイクロ波は水分を含まなければ透過するといいましたが金属には反応します。

電子レンジに料理皿にアルミ箔を被せて入れて失敗した方もおられるでしょう。

火花が出てアルミ箔は解けるでしょう。

ですから、骨折で金属副子を体内に入れている場合は禁忌となります。

また、心臓ペースメーカーを入れている方も禁忌となります。

   ラメ糸(金糸、銀糸)は注意!

洋服の上から照射可能といいましたが、たまに金属ボタンが照射部位にあったりしますがボタン程度の大きさならほとんど問題はありません。

ただ問題なのはラメ糸を使った衣服です。大きな金属は温度上昇に時間がかかるので、ほとんど問題ありませんがラメ糸のように細い金属は急激に温度上昇します。

治療後に患者さんの服に穴が開いたという経験を何度かしました。

   使い捨てカイロは絶対外すこと

また最大の失敗は使い捨てカイロを見逃してしまったことです。使い捨てカイロは鉄粉を酸化させ温度を上げます。

マイクロ波は鉄粉自体の温度を上げまた酸化を促進するので一気に温度が上がってしまいます。

私が経験した失敗は、患者さんが下着側でなく上着の内側に貼るタイプのカイロを貼っていたので見逃してしまいました。

その方は腰にマイクロ治療をしたのですが治療中に腰のあたりから煙が出てきました。

幸い看護師さんが気が付き大事になることはありませんでしたが衣服が焦げ病院が幾何かの保証したのを覚えています。

それ以来冬になると患者さんにはくどいほどカイロの有無を尋ねるようになりました。

なぜマイクロ波治療器が重宝されるか

マイクロ波治療器を多用する病院は多いです。

温熱療法として時間的には短い時間で効果が望めます。

そして最大の要因は補助が要らない、付き添いが要らないことです。

ボタンを押せばあとは「何かあれば言ってください」と言っておけば機械が治療してくれるのです。

なにより人件費の節約になるのです。

だからと言って効果が望めないものではありませんコストパフォーマンスは最高の治療器と言えるでしょう。

 

 

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