この記事の目次
お金をドブに捨てるサプリ
女性自身7月23,30日合併号に飲んでもムダなサプリメントという記事が掲載されました。
常々、思っていたことがズバリ書いてあったのでご紹介がてら自分の検証も書いてみたいと思います。
1、セサミン
米国国立医学図書館のデータベースの最新のセサミンについての研究論文をみるとセサミンの抗酸化作用や骨粗鬆症の予防効果、認知機能の低下の予防などおおむねセサミンに対して有用な効果を検証しています。
またセサミンサプリメントに対しても否定的な研究論文はありません。少しご紹介しましょう。
1、関節リウマチの女性におけるタンパク質分解酵素、炎症マーカー、および臨床指標に対するセサミンサプリメントの効果を評価する無作為化三重盲検プラセボ対照臨床試験
論文結論:セサミンは炎症性メディエーターを減少させることにより、関節リウマチ患者の炎症性障害によって引き起こされる臨床症状と病理学的変化を緩和できるようです。
2、軽度認知障害を有する人々におけるアスタキサンチンおよびセサミンを含有する複合サプリメントの認知機能への影響:無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験
結果:テストでは、プラセボグループと比較して、ASグループの精神運動速度と処理速度の著しい改善が明らかになり、ASの毎日の補充により、複雑なタスクを迅速かつ正確に理解し、実行する能力に関連する認知機能が改善されたことが示唆されました。
3、2型糖尿病患者におけるセサミン補給が血糖状態、炎症マーカーおよびアディポネクチンレベルに及ぼす影響
結果:セサミンサプリメントの血糖状態と炎症因子に対する有益な効果によると、それは糖尿病患者のための補足的な治療アプローチとみなされるかもしれません。ただし、この分野では今後の調査が必要です。
私見:最近のセサミンサプリメントの研究は積極的に行われおおむね良い結果を得ているようで、否定的な論文は見つけられませんでした。研究自体、メーカーの研究機関で行われたりする論文もあり結果ありきの研究も疑われます。
かといって、セサミンが全く効果がないというにはエビデンスが弱い気がします。さらなる研究を待ちたいと思います。
2、イチョウ葉エキス
イチョウ葉エキスは1960年代にドイツの製薬会社によって研究開発され、脳をを含めた末梢の血流改善に薬品として使用されたの始まりです。イチョウ葉エキスに含まれる有効成分は
1、フラボノイド、(強力な抗酸化作用でけ活性酸素から毛細血管や脳神経細胞を保護することが分かっている。
2、ギンコライド類、ビロバライドを含むテルペノイド (虚血性の脳細胞の障害を減少させることが分かっている)
私見:認知機能の低下の初期段階には有効であると自ら認めていながら飲んでもムダとはどういうことなのでしょうか?ヨーロッパではイチョウ葉エキスは認知症の予防薬として広く使用されています。
ただし、イチョウ葉エキスには厳密な成分規格があります。
イチョウ葉エキスであればすべて効果が望めるということはありますせん。
標準イチョウ葉エキスは以下のような規格があります。
フラボノイド24%を含みテルペノイド6%を含み、アレルギーの原因となるギンコール酸含量を5ppm以
下になるよう規格化されている。
イチョウ葉エキスは日本ではサプリメントくくりなので粗悪な商品もあると思います。
商品選びを慎重にすれば目的の効果はないということはありません。
3、グルコサミン・コンドロイチン
グルコサミン、コンドロイチン、などに対する無効論にはサプリメントとして飲んでも一旦消化されるとアミノ酸に分解され関節には届かないというものです。一方、いまだにグルコサミンやコンドロイチンの関節痛の緩和に対する研究は続々と報告されています。しかし日本医学会の公式見解としては両成分とも効果がないとされています。
私見:肯定派と否定派両方ともそれなりの研究結果を報告して、全く逆の結果を示しています。
これこそ医学会とサプリメント業界の研究競争ではないのでしょうか。
両者それぞれから支援を受けた研究機関がそれぞれに都合のいい結果を報告するのではないのでしょうか。
例えば研究の結果に置いてその差が誤差の範囲であっても都合のいい方を誇大に評価するということもあるかもしれません。
4、プラセンタ
プラセンタはヒトや家畜の胎盤から抽出した成分で注射薬としては更年期障害改善、乳汁分泌障害の改善また、慢性肝炎における肝機能の改善の薬として日本では2種類が認可されています。
しかし、日本産婦人科学会では更年期障害の治療においてプラセンタは現在のホルモン療法の代用にはならないとしています。
美容成分としてのプラセンタは美白に関しては効果があるという報告と逆に悪化するという正反対の報告があります。
2016年には非加熱の生プラセンタを用いた実験でジ羽が減少したという報告がなされています。
残念ながら経口、つまりサプリメントに関して2017年の調査では更年期障害や、美容、などに関して有効性を示す研究報告は皆無です。
5、ヒアルロン酸
注射に関しては変形性関節症に対して医療現場では普通に使用されていますし美容医療でもしわ伸ばしなどに盛んに使用されています。
私見:サプリメントに関してはこの記事のとおりです。
しかし近年、機能性表示食品の制度により企業の資金提供する研究機関が企業に忖度した研究結果の報告で機能を表示できるようになったため多くのメーカーからサプリメントが発売されています。
TVでは階段を軽快に上がる高齢者が「これを飲んでて良かった」といい。美肌の美しい女性が「私70歳です。これのおかげです」と盛んに効果を暗示するCMが流れていますが。
それが何人のうちの一人であるかはわかりません、つまり効かなかった人の割合が分からないのです。
結論として「飲んでもムダ」か?
新薬には認可されるまで様々な厳しい審査プロセスがあり8年から15年の歳月を要します。
サプリメントになると特定保健用食品(トクホ)では申請後に国の機関の厳しい審査と評価の上記認可されますがほぼ2年で認可されます。
これが機能性表示食品となりますと届け出だけでおおむね2ヶ月ほどで許可されます。
審査はありますが書類の様式や提出書類の数のっ確認審査などで商品についてはメーカー任せとなっています。
一番の大きな違いは薬になると厚生労働省が審査しサプリメントは消費者庁が審査することです。
そもそもが食品扱いなのですから。まだトクホは厚生労働省の意見を求めることができる仕組みになっています。
つまり、サプリメント、特に機能性表示食品は手前味噌な研究でいいのです。
こんな例があります、成分の投与実験をする際はプラセボ群を用意します。プラセボ群とは偽薬を飲ませるグループの事で被験者が何かを飲んだという自己暗示による影響が実験に現れるのを対比するためです。
グルコサミンのある研究では投与群とプラセボ群の両方に有意な結果が現れたという事がありました。
つまり効く、効かないは、個体差や環境、体質、食癖、生活習慣など様々な要素により人それぞれであるという事です。
但し効く可能性は低いと言わざるを得ないでしょう。