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一生に一回の出来事
私は五年前、住んでいた家が市の道路整備の用地買収にかかり立ち退きを余儀なくされました。いわゆる「公共事業による立ち退き」です。
公共事業による立ち退きは、昔と違って立ち退き料というものが現住建物の査定と土地価格により融通の効かないかっちりとしたものになっており、決して現住建物が再現できる価格ではありません。
そこで仕方なく住宅ローンを組み、立ち退き料と合わせてなんとか新住居が新築できました。
立ち退きなどに関しては別のページで詳しくご紹介します。
とんでもなく苦労しました。でも、少ない資金の中では最高の家が建ったと自負しております。
その時に得た知識、経験などをこれからマイホームを建てる方のためにご紹介していきたいと思います。
土地に関しては市から代替地の推薦を受け便宜を図ってもらい購入しました。
ですからここからのお話は土地取得済みからの新築ということで注文住宅についてのお話になります。
注文住宅を建てる
新築住宅を入手する手段には次の3つがあります。
1、建売住宅を買う。
土地付き新築住宅を買うことです。まとまった土地がありそこを分譲して区画ごとに家を新築し完成したものが一般的です。
どうしても似たような家並みが並ぶことになりますが、実際に見てから決定できるということは大きな強みです。
2、売り建て住宅を建てる。
土地分譲後に土地販売者の指定施工業者が家を建てる条件の契約で新築住宅を取得することです。建売住宅はあらかじめ間取りも内装も決まっていますが売り建て住宅は建築時にある程度、購入者の要望が設計に取り入れられます。
しかし、素人ではなかなか完成イメージがつかみにくく。後からああすればよかったとかこうするべきだったとか後悔が生じることも否めません。
3、注文住宅を建てる。
あらかじめ自分が用意してある土地に自分が決めた施工業者を選んで新築することです。
3つの入手法の中では一番自由度の高い気に入った家ができることになります。
しかし、注文住宅を立てるためには建築や、家具、住宅設備、用語、法律などのある程度の知識が必要です。
でなければ、設計士や工務店との打ち合わせの時何がなんやらわからないということがありえます。
また予算管理も綿密な計画が必要になってきます。
予算管理については注文住宅を新築する時の予算配分で詳しく紹介しています。
ですから注文住宅は自由度が高く一見人気がありそうですが実は、建売や売り建ての住宅の方がハードルが低いのでそちらを選ばれる方も多くいます。
土地があるなら注文住宅を建てることになる
すでに新築する土地が決まって所有しているなら次は建築です。
建築は工務店、ハウスメーカー、設計事務所のいずれかに依頼することになります。
どこに依頼するにしろまずはどういう家を建てるのか自分のイメージをはっきりさせることが大切です。
私は、このころ毎晩、家族会議でああでもないこうでもないと話し合ったものです。
まずは住宅展示場を回れ
そしてまずはハウスメーカーが主催する住宅展示場に見学に行きました。
普通、住宅展示場は大手ハウスメーカー数社が共同で開催しているところがほとんどです。
まずは、すべて見て回り気が付いたことはメモし、わからないことはその場でとことん聞いて回ることです。
図面や写真ではつかめないイメージをこの目で確認できることは得難い経験です。家を新築する場合住宅展示場回りは必須です。
家という一生一度になるだろう買い物をするにはとことん勉強しなければいけません。これだけは言えます。
知識がないと良い家は作れない!
住宅展示場のただ一つの欠点は各メーカーで住所、氏名等を記名したり今後のプランを聞かれたりしつこく付いて回られるとこです。なかなか自由に見学させてもらえないのです。まあ、その分わからない事がある時はすぐ間に合いますが。
また、後日訪問させてほしいとかややこしいことを言われますがすべて断れば終わりです。断ったのに訪問されることはありませんでした。
自分なりの間取りを書いてみる。
まだ家の大きさや形もわからないのですがまず、間取りを考えましょう。
間取りと言っても何階建てか、必要な部屋数、キッチンの位置、トイレの位置など簡単に決めればいいのです。
最近はパソコンで間取りソフトが無料でいろいろ公開されています。
私は「無料で使えるマイホームクラウド」というソフトを使いました。
クラウドソフトでインストールなしでサイト上で間取りを簡単に書くことができます。しかもすぐ3Dにして立体視でき、イメージもつかみやすくなります。
心配いりません。正確な間取り図なんか必要ないですから。だいたいのもやっとしたイメージができればそれで終了です。
業者を選定する
だいたいのイメージができたら、どこに頼むか選定しなければなりません。
具体的な業者名ではなく、工務店に頼むかハウスメーカーにするかそれとも設計事務所にお願いするか決めるのです。
工務店で建てる
工務店のメリット
工務店は地元に根付き事情の分かった会社ですので地域の習慣なども考慮して熟練した職人さんが施主である私たちと密に連携をしながら家を建ててゆく感じですね。
ですから自由度は比較的に高いと言えます。
一級建築士さんがいて設計からやってくれる工務店もあり、職人気質のキッチリした仕事をしてくれる工務店がほとんどです。
たとえば、階段の板一つでもこちらがカタログを見て気に入ったのを指定しても強度からしてこちらの方がおススメですとそれより安い素材を推薦してくれたりします。
最終的価格は一般的にハウスメーカーより安く仕上がる印象です。
工務店のデメリット
工務店はピンからキリまであり、安さを前面に出すために材用の質を落としたりするような悪質な工務店から、代々の職人気質でクライアント第一で本当に施主のためになる提案をしてくれる良い工務店もあり、優良な工務店を選ぶことがまず第一歩でしょう。
小さな工務店になると設計は外注するところもあり、外注された建築士さんには工務店の利益を基準に設計を進める可能性があります。
その工務店の過去の仕事を調べ場合によっては建てた家を訪問して住んでる方に意見を聞くとか、周りの評判とかをリサーチする必要があるでしょう。
ハウスメーカーで建てる
ハウスメーカーは大手の全国展開している会社である程度自社が規格化したユニットを組み立てるという感じになります。
ハウスメーカーのメリット
ハウスメーカーのメリットはやはりその全国展開しているという会社の規模にあります。つまり取扱件数がけた違いに多くいろんなケースへの対応力も強みです。
設計から施工まで一貫して行うため部品調達や不具合などがほとんど発生しなく、安心感は抜群です。
桁違いの工事件数なのでいろいろなケースの経験値も高くパターン化されており工期は早いです。
また、住宅設備品(ユニットバス、洗面台等)は大量仕入れするので単価も安くなります。
ハウスメーカーのデメリット
各ユニットや部品などの大量仕入れで選択肢の狭小化と画一的になる傾向は否めません。
住設単価が抑えられ工期も早いわりにハウスメーカーでの建築はなぜか割高になります。
それがハウスメーカーたる所以で全国展開しているということはその宣伝に莫大な費用をつぎ込んでいるからでしょう。
しかしその分信用を大事にしますからアフターサービスやクレーム受付においてはかなり安心できるでしょう。
モデルハウスが気に入る方ならばハウスメーカーで建てるのはいいかもしれません。
設計事務所で建てる
一番自由度の高い方法が設計事務所にお願いすることでしょう。
私は公共事業による立ち退きですでに土地を入手しておりましたので設計事務所にお願いしました。
実際のところ建てるのは工務店や建築会社であって工務店にお願いしたら設計を契約している設計事務所やおかかえの設計士頼みます。
そこを自分で設計事務所を決めるというだけの事なんです。
「そんなに設計事務所に詳しいのか?」と言われそうですがそうではありません。
だったら工務店で設計してもらってもいいじゃないかと思われるでしょうが、工務店で設計してもらうとその設計はどうしても工務店を忖度した設計になる恐れがあります。
もちろん設計事務所に依頼すると建築費以外に設計監理料が必要になってきます。
しかし、工務店やハウスメーカーで設計しても設計費用は計上されるのです。
設計事務所で設計してもらうということはあくまで第三者としてかかわってもらえるので施主の事だけを考えてくれるところにメリットがあります。
設計事務所のメリット
自由度が桁違いに高い。
立てたい家の構想がある程度自分なりに決まっている人は、多少、建築常識から外れていても何とか近いものに寄せてくれます。
施主の利益を最優先に予算に合わせた設計や工法、材料を追及してくれます。
工務店、建築会社選びに各店へ見積もりを提出して、予算と設計に一番近い会社を一緒に親身になって選ぶアドバイスをしてくれます。
どうしても見積もりをオーバーしてしまう場合、設計、材料等の見直しも施主の利益を最優先にやってくれます。
工事にかかると、設計通りの施工か、材料か、など手抜きの有無などのを施主の立場に立って監督してくれます。
私の場合、施工会社が決まってもまだ、見積もりに予算が足らなかったので設計士さんのアドバイスで
エアコン関係を電源とスリーブ(パイプを引き入れる穴)工事だけにして
エアコン自体の取り付けは量販店に頼むという荒業をしてかなりの見積額の削減になりました。
工務店へは設計士さんから提案していただきました。
実はこういうのを施主支給といって本来は工務店が嫌う行為なのですが設計士さんが付いていてくれるからこそできることでした。
設計事務所のデメリット
設計士さんのこだわりがどうしても入ってしまいます。
外観などに設計士さんのこだわりが反映され、施主のイメージと違うデザインになったりすることもあります。
建築費とは別に設計監理費用が掛かります。どこに頼むにしろ設計監理費用は掛かるのでしょうが、別会計というところが余分に支出した感があります。
ちなみに、工事の規模にもよりますが一般的に工事費用の10%が目安だとされています。
設計事務所で建ててみた感想
最近、テレビのニュースを賑わせるレオパレスの手抜き工事
これからマイホームを建てようとする方が一番気になるのがその辺のところではないかと思います。
第三者的立場で工事を見守る人がいるということは何より安心なのではないでしょうか。
私が設計事務所でマイホームを建てた感想は、
設計士さんは施主の味方である。
ということに尽きます。