捻挫とは
関節は個人差はありますが動く範囲が決まっています。膝は180度まで伸びるとそれ以上は曲がりません。そこへ何らかの外力によって本来の曲がる位置より多く曲げられたりすることで関節を構成する靭帯や軟骨、などの軟部組織が損傷することをねん挫と呼びます。
捻挫の程度は軽いものから、靭帯が伸びた状態、靭帯が部分的に断裂した状態、靭帯が完全に断裂した状態、靭帯に引っ張られて骨が剥がれる状態、関節軟骨などの損傷を伴う状態へと重症になっていきます。
症状としては、まず損傷した部分に押さえた痛みがあります。次に腫れ、内出血による皮膚の変色、運動痛があります。
捻挫をしてやってはいけないこと
捻挫をしたら絶対にやってはいけないことがあります。
1、温めてはいけない
腰や膝が慢性的に痛い時お風呂などで温めるとその後、楽になるのを経験した人は多いと思います。
その経験を踏まえてか、捻挫をした直後に患部を温める人がいます。
リハビリに来る患者さんの中には結構負傷した当初に温めたという方がおられます。
これは、やってしまうと腫脹を助長し、大変な事になりかねません。
2、揉んだり、さすったりしてはいけない。
これも1と同じ理由で損傷部位を刺激することになり損傷を大きくします。しかし、負傷直後に皮膚を軽く短時間さするのは痛みを減少させるのに役に立ちます。あくまで皮膚刺激だけです。
3、痛みを伴う動作はしてはいけない
当然なことですが、痛みというのは人体に備わった防御反応です。痛いから動かさない。動かさないから治る。熱いから焼けたフライパンを直に触らないのと同じことです。痛い動作は患部を悪化させます。
捻挫をしたらなるべくやってほしいこと
捻挫をした環境によりできるかどうかは変わってきますが手直なもので対処してください。
1、とりあえず冷やす
これが一番大切なことです。冷やすことによって血管を収縮させ内出血を最小限に抑えます。また冷却によって痛みの感覚をある程度麻痺させることができ、炎症の拡大を押さえてくれます。
まずはぬれタオルで面をかえながら冷やすといいでしょう。氷が手に入る状態になれば氷嚢で冷やします。氷嚢で冷やす場合は凍傷に十分気をつけながら冷やしましょう。
2、関節を動かないように固定する
応急処置の範囲ならばタオルなどで患部を縛ってもいいでしょう。自宅に包帯があれば包帯で固定できます。
この時注意しなければならないのは決して強く巻いてはいけないという事です。受傷から数時間はその時点より腫脹が大きくなることが考えられます。
きつく締めると腫れにより締め付けがより大きくなり血流障害をおこす可能性があるからです。包帯を転がす感じで巻くといいでしょう。下の動画は足首の固定包帯です。
3、安静を保ち入浴、飲酒は避ける。
患部の安静も大事ですがからだ全体の安静にも留意しましょう。不用意に動くことで二次的な負傷をされる方もおられます。足の負傷を押して外出していた患者さんがバランスを崩して手を負傷された方もおられます。
また入浴して患部を温めたり飲酒によっても血行が良くなり炎症や内出血を助長しかねません。患部を湯船につけなければいいのではという患者さんもおられますが、体が温まることで患部も温まりますので同じことです。入浴、飲酒の禁止は程度により最低3日から一週間は必要です。
4、病院に行く。
このぐらい、病院へ行かなくても大丈夫という場合もあるでしょうが、病院へ行く目安はやはり腫脹の大きさです。捻挫をしても少し腫れる程度なら自宅療養も可能かと思いますが腫れが酷く特に翌日に皮膚表面まで内出血が浮き出てきた場合は病院へ行きレントゲン検査をしてもらいましょう。
腫れが特に大きい場合、靭帯の損傷だけでなく骨折を伴うこともありますので注意が必要です。
また、自発痛といって動かさなくじっとしていても患部がうずくような痛みがある時は急いで受診する必要があります。自発痛がある場合、なんらかの進行的な障害を生じていることがあるからです。
5、自宅療養の場合
病院へ行くほどでもなかった場合、自宅療養となりますが。包帯をいちいち巻くのはなかなか面倒なものです。また入浴できるようになるといっそうめんどくさくなるものです。
薬局に行くと医療用のサポーターが売っていますのでそれで代用してもいいでしょう。ただ、スポーツ店で買うのは避けた方がいいです。スポーツ用のサポーターと医療用のサポーターではコンセプトが違うのでスポーツ用サポーターは長時間するように出来ていないからです。
アマゾンなどでは医療用のサポーターとして売っていますので捻挫した部位にあったものを探してみてください。