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運動療法も食事療法もちろん大事ですが。
食餌療法はいわゆる受け身的な治療法で運動療法は積極的な治療法と言えます。
食餌は食べなければ、生命の危険があります。
食餌療法はあくまでも量を調節することにあります。
つまり、空腹という苦痛を耐えることで血糖値をコントロールすることになります。
いわば対症療法のようなものです。
一方、食事療法は筋肉に変化をもたらし、体質を変えて血糖値をコントロールしていきます。
運動療法によれば緩解も夢ではありません。
もちろん食餌療法を併用するのが最も望ましいのですが、極端に言えば普通の食事でも運土療法をきっちり行えば糖尿病は治るといっても過言ではありません。
様々な病気に対して効果のある筋肉から出るマイオカインという物質が次々に発見されている。
マイトカインとは筋肉から出る物質の総称で、2016年だけでも100本以上の研究論文が発表されるなどいま、医学界ではトレンドの研究分野です。
運動するだけで体の中に薬ができる
薬を飲まなくても運動するだけで体の中に薬ができると言ったら信じられるでしょうか?
いま、筋肉が動くことによって分泌する様々な物質が話題になっています。
その物質はまだ研究段階なのですが様々な病気に対して投薬される薬と同じ効果が望める可能性を秘めているのです。
つまり最終的には運動をするだけで薬の力を借りずに病気を治すことも夢ではないかもしれません。
筋肉はある程度まで鍛えると成長にブレーキがかかる
肉牛の中のある品種は普通の牛の2倍も筋肉が発達し1頭から取れる肉としてコストパフォーマンスが良くしかも脂肪が少ない赤身の肉なのでヨーロッパでは人気のある品種となっています。
この牛は生まれつき筋肉が発達するように出来ていてそのメカニズムが謎でした。
アメリカのマウスの研究で突然変異で筋肉が異常発達をしたマウスを研究した結果突然変異の結果、遺伝子異常で体にミオスタチンという物質が作られない体になっていたことが分かりました。
研究の結果ミオスタチンは筋肉細胞から出ていて筋肉の発達を抑制する働きを持っていることもわかりました。
筋肉は必要以上に増えるとエネルギーを余分に使って他に必要なエネルギーまで使ってしまいます。
そこで、自然の摂理として必要なだけ筋肉が付くとそれ以上発達しないようにブレーキがかかるシステムになっているのです。
その役割がミオスタチンという物質です。
筋肉が鍛えられると筋肉細胞は成長しますが同時にミオスタチンも放出されるので必要以上に筋肉をつけるのにはかなりの筋トレが必要になるという事です。
ミオスタチン以外に筋肉から放出される様々な物質が発見されそれらを総称してマイオカインと名づけられました。
現在骨格筋から見つかっているマイオカインは30種類以上ありますが残念ながらまだその役割がはっきりと改名されていないものも多いのです。
しかし比較的研究が進んだものの中には人間のさまざまな病気に対して有意に働く効果が証明されつつあります。
骨格筋の運動に反応して分泌されるマイオカインはいくつかの臓器の機能を調節し、代謝改善、抗炎症、筋肉増強などに関与します。
現在効果が証明されつつある主なマイオカインは次のものです。
主なマイオカイン一覧
マイオカイン名 | 作用 |
SPARC (スパーク) | 大腸がんのがん細胞を自滅させる作用がある |
IL―6 | 体内の糖を取り込み、また肝臓の脂肪を分解する |
FGF―21 | 肝臓で脂肪を分解し燃焼させる脂肪肝の予防、改善に役立つ |
アディポネクチン | 脂質を分解、糖尿病からの動脈硬化を防ぐ作用がある。うつ病や認知症の改善の可能性がある。 |
アイリシン | 筋肉から出たアイリシンが脳に入り込むと神経細胞の発生や成長、維持や再生を促すBDNFの発現に効果がある。 |
IGF―1 | 神経細胞を作り、シナプスの結合、さらには血管新生を促す。アルツハイマーの予防に役立つ。 |
SPARK
もともと運動選手などに大腸がんが少ないことやSPARK自体大腸がんの抑制効果が認められていました。
しかし、それが筋肉の運動によって分泌されるという事が分かると運動の予防医学における位置づけがさらに注目されてきました。
IL-6 : FGF-21
糖尿病治療に運動療法は欠かせないものですが運動によるカロリー消費だけではなく、筋肉を動かすことにより糖尿病の改善したり、脂肪肝を予防したりするホルモンが分泌されるという事で運動療法自体の方法も変わってくるでしょう。
例えば足が不自由で歩行ができない場合でも上半身の運動で筋肉を使えばIL-6やFGF-21のマイオカインの恩恵にあずかることができるでしょう。また荷重のかからない運動でも筋肉を動かすことはできます。
糖尿病患者の運動療法についてかなりの選択肢が増えることでしょう。
アディポネクチン
アディポネクチン事態は肝臓や脂肪細胞から分泌されることは分かっていました。やせホルモンとして一時大々的に紹介されました。
体内の脂肪を燃焼させる働きがありまた運動しなくても脂肪を代謝でき、基礎代謝を上げることができるのです。
という事は運動をすれば筋肉からもアディポネクチンも分泌され脂肪を分解代謝することが加速されます。
アイリシン
アイリシンはハーバード大学の論文によりますと筋肉から分泌されたアイリシンが脳に入り込むと神経細胞の発生や成長、維持や再生を促し認知症の予防改善に効果があるBDNFというたんぱく質の発現に寄与することが動物実験ながら証明されたとあります。
IGF―1
IGF―1はおもに肝臓で成長ホルモンの刺激で分泌されます。
もともと小児の骨や筋肉の成長に欠かせないたんぱく質ですが最近では神経細胞を作りシナプス結合血管の新生にも関与していることが明らかになってきています。
また、2010年の征矢教授の研究ではアルツハイマーの原因物質を減少させたり脳の神経活動を活性化することが報告されています。
マイオカインは自分の体で作ることができる
これらの物質の存在はもともと知られていましたが筋肉からもつくられること、つまりマイオカインであるという事は投薬という形を取らないでも運動により自分の体の中で作られるという事です。
このことは大変画期的な発見であり、副作用の心配のまったくない薬物治療として成立します。ただ筋肉を動かせばいいだけなのですから。
マイオカインの研究は製薬が遺書によっても進められています。しかし、まだまだ始まったばかりで投薬という形でのマイオカインの利用はまだまだ先の話です。