前回の記事↓、では市が委託したコンサルタント会社から調査に来たことをお伝えしました
コンサルタント会社の補償調査は2か月半かかった。
建物や土地の計測、自営業の営業状態などいろいろ調査があり7月10日から始まって物件の調査が終わったのが7月23日です。
補償業務管理士の営業調査の面談とかが後からあったり最終的にすべて終わったのが9月25日で、全体として2ヶ月半かかったわけです。
その後、補償の決定まで半年がかかります。
その間、立ち退きの方法についての協議が散発的に市役所との間で行われます。基本的に市役所からの来訪という形になります。
基本的に土地は必要な部分しか買い上げない
道路拡張工事に必要なのは私の家の土地の約半分です。
市の言う事には必要な分だけ買い上げさせてもらうとの事です。
しかし、半分土地が残ってもそんな半端な土地、後から買手も付かないだろうし使い道がないのです。
しかも固定資産税は住宅地でなくなるため今までの6倍になります。
こちらとしては、何とかすべて買い取ってもらえないか交渉しました。
私も自分なりに調べてみましたが、残った土地(残地といいます)がごく僅かで著しく価値が下がるとか土地利用が困難になる時には
買い取りを請求できる。または、その損失に対する補償を受けられるとの事です。
しかし、本件のように50%の残地ではおそらく不可能であろうと判断しました。
それならば、ゴネて心証を悪くするよりあっさり認める方が得策かなと思い、残地買い取り交渉はやめました。
基本的にゴネて長引かせると返って損をする。
「立ち退き」というとゴネて長引かせれば立ち退き料を上乗せしてもらえると思われる方が多いと思います。
実は本当はその逆です。市役所の役人も人間です。ゴネて心証を悪くすると利害関係以外の協力が得られません。
これについては後の章で詳しく紹介します。
4月15日に担当者が補償についての明細を持って来訪しました。
その金額は・・・
土地収用金額、補償費 提示書が来た!
公共事業による立ち退きによって保障されるものは二つあります
1土地の収用(買い取り)の代金
基本的に国の公示価格をもとに不動産鑑定士が鑑定した価格となり交渉の余地はありません。
2明け渡しに対する補償
普通は別の土地へ建物を再建するためにかかる費用を補償してくれるものです。
それには以下のようなものがあります。
1、建物移転補償
建物を新築する費用なのですが、現住建物をそのまま移動させる工法もあります。また、残地に新築する場合などもありそれぞれの認定により算定します。
現住建物と同規模の新築の場合であってもその金額が丸々補償されることはありません。現住建物の再建ではなく、コンサルタント会社が調査した現住建物の現在の不動産鑑定価格が補償になります。
築年数などにより減額があり、とても同じ規模の建物は建たないと考えた方がいいでしょう。
2、工作物移転料
看板や土間コンクリート、門扉、塀などに対する補償です。
3、動産移転補償
いわゆる引っ越し費用です。
4、移転雑費補償
設計監理費用、新しい不動産の登記費用、新しい土地を探すために費やす費用などです。
5、営業補償
新しい土地に移ることによって事業収入が減少したり、引っ越しに際して事業を休業したりすることへの補償です。
これもコンサルタント会社が派遣した補償業務管理士の査定による金額となります。交渉の余地はないと言えます。
提出した書類に過誤があったとか、新しい事実が出てきたなど特別な事情があれば交渉により変更が認められる可能性があります。
6、残地補償
残地が収用によって使い物にならなくなったり、その価値が著しく下がったりする場合、その損失に対して補償があります。
私の場合は残地補償はありませんでした。
現在、残地は整地して賃貸駐車場にし、月4万円ほど収益が上がっているので市に買い取ってもらわなくて良かったとつくずく思っております。
その他 立ち木補償(庭の植木の移転費用)、借家人補償(借家人への補償)がありますが私のところは関係ありませんでしたので割愛します。
契約前に注意すること
地価、建設業界の状況を把握しておく
この提示書はコンサルタント会社の査定時点での価格で契約後、地価の変動があったり建築費用の高騰があっても金額は変わることはありません。
昨今の大きな災害で復興のため建築資材や労働力の不足など、
また消費税アップの駆け込み新築など予想もしない原因で建築費が高騰したりしてタイミングを逸することもあります。
査定には消費税もプラスされています。私の場合一番困ったのは消費税の引き上げがすぐ間近に迫っていましたので少なからず焦りはありました。
契約後に消費税が上がっても上がった消費税分は補償されないからです。
解体費用は契約前に見積もりを取っておく
建築費などはこちらの都合なので査定に文句は付けられませんが、解体費用はコンサルタント会社が見積もった動かしようのない価格です。
実際、こちらが解体業者数社から見積もりを取ってどの見積もりもコンサルタント会社の見積もりを上回るようでしたらコンサルタント会社の査定が間違っていることになります。
実は契約前に市の担当者にお願いして解体業者3社に見積もりを取ってもらったところすべて補償額を大きくオーバーしていました。ひどいところは補償額の2.5倍の会社もあったほどです。
市の担当者も困惑して「何とかしましょう、数日時間をください」と言ってくれました。
結局、一番安かった解体業者に話をつけ補償額以内で解体する確約を取ってくれました。
さすが行政機関となると民間に対して何らかの裏技を持っているのかもしれません
契約は気持ちよく交わしましょう
公共事業による立ち退きに関してはゴネ得はありません。
私の場合、提示書によるととても現住建物と同じものが立つ金額ではありません。
年度末とあって市役所の担当者さんも急いで契約にもっていきたいようです。
役人といえども一人の人間です。ゴネて気まずい関係になるより気持ちよく契約してよい関係を築いておくことが後々いいことがありそうです。
こちらは建物の新築や土地の売買などについて全くの素人で何もわかりません。
前述した解体業者の見積もりの件がいい例です
いい関係を築いておけばわからないことや困ったことの相談もしやすいのです。
消費税の事もあったので翌日には無条件で承諾する旨を担当者に伝えました。
もちろん新居は今よりも小さくなるであろうことは覚悟しました。
市と補償契約を交わす
立ち退きが内定すると、次は正式に補償契約を結びます。
補償契約書と題された10条3ページにわたる書面2通に実印を押し印鑑証明を添え互いに1通ずつ保管することになります。
その契約時、実際はタイムラグがありますがほどなく補償金が支払われます。
補償金は契約時に7割土地明け渡し時に3割支払われる
土地明け渡ししなければ補償金は支払われないと思われがちですが、
それでは現住建物の解体費用や新たな土地の購入費用、新築工事の手付金などの退去に向けた費用が賄えません。
立ち退きがスムーズに進行するように実は契約時に7割が支払われるようになっています。
2019年10月26日 Postscript
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