くびを寝違えたら絶対温めてはいけません!
病院のリハビリは新鮮な外傷は扱いません。初期症状が治まって回復期になり回復を補助する方や、ギプスなどの固定が取れて機能回復する方が来られます。
したがって、治療にはホットパックやマイクロ波治療器、温水中機能訓練など温める温熱療法が中心になります。
こういった温熱療法は疼痛を取るのには最適で患者さんは帰りには楽になって帰られる方が殆どです。
しかし患者さんの中には温めること=治療と思い込まれる方も少なくありません。
ですから、リハビリで機能訓練中に「昨日足首をひねって腫れて歩くと痛い」という人に「昨日はお風呂入らなかったでしょうね」と聞くと
「温めると痛みが取れると思ってよくあったまりましたけど一向に良くなりません」と返ってくることがあります。
当然そういう人はすぐに診察の方へ回します。
新鮮な外傷は冷やすのが基本です
骨折や捻挫はもちろん打ち身や捻挫した時は骨、靭帯、関節、筋肉などを損傷しています。
当然、内出血なども起きています。
まさに内出血の最中かもしれません。
リハビリでの温熱療法は温めることで血管を拡張させ血流を多くし、治癒を促すものです。
しかし内出血しているところを温めるとどうなるでしょうか。
当然血管は拡張します。したがって出血量も多くなり、ますます腫れが大きくなってきます。
痛みも増幅されます。結論として治癒までの時間が長くなります。
さて、寝違いはどうでしょうか。
くびの寝違えとは
原因
実は「寝違え」とは言うものの実際のところはっきりとした原因は特定できません。
実際寝ている間、不自然な姿勢になり首をひねったまま熟睡したことによって頸の筋肉や関節の靭帯、関節包などの軟部組織が過度にストレッチされ炎症を持ったという事はあります。
しかし、前日に自動ドアと衝突して頸に衝撃があったとか、ヨガでかなりきついポーズをとったなど前日に負傷しているものが起床時に痛みを感じるものもあります。
損傷しても筋肉自体には痛覚はなく損傷した筋肉から出る炎症物質が筋膜に届いて始めて痛みを感じます。つまり時間差があるのです。
頸には様々な筋肉がついています。
一番浅いところに広く付くのが僧帽筋という筋肉です。
寝違えて痛い場所が比較的広範囲で浅く頸から肩、背中にまで及ぶ場合はこの筋肉を傷めている可能性が高いです。
また比較的痛みが深く頸を回すと引きつるような痛みや引っかかるような痛みがある場合は板状筋や斜角筋を傷めている可能性があります。
頸を寝違えたら湿布で冷やしましょう
寝違えはおそらくは筋肉を傷めて炎症を持っていることが多いです。
したがって寝違いは外傷の一つと言えます。
温めてはいけません。
湿布で冷やして安静が治療の基本です。
痛い動作は傷めた筋肉を使っている証拠です。とにかく痛くない姿勢と動作に心がけてください。
痛みが酷い場合は頸のコルセットを使うという選択肢もあります。
つまり、固定するわけです。安静の基本は固定です。湿布と併用することが大事です。
正常であればだいたい3~4日で痛みはなくなります。
寝違えにもレベルがある
ただの寝違えといっても何となく重たい痛い感じのものから振り向くと激痛が走るもの、起居動作の度に激痛が走り寝返りも苦痛なものまで痛みに相当な差があります。
痛みがあまりに酷い場合は他の病気も考えられますので整形外科を受診してください。
また、前日に転倒して衝撃が首にかかったなど思い当たるような原因がある場合や、手にしびれや違和感がある場合は早急に受診してください。
いわゆる頸肩腕症候群(ムチ打ち)などを起こしている場合も考えられます。
また、痛みが長引く様であったら検査の必要も出てきます。
ただの寝違えと思っていても首の痛みの原因は整形外科にとどまらず内科的疾患からも起きることがあります。
とにかく、おかしいと思ったら医科を受診してください。