腸内フローラの改善が健康の最大の鍵だった
フローラとは腸内に住む細菌がその種類ごとに集まって塊で腸壁のあちらこちらに生息する様子が花畑(flora)のように見えることから腸内細菌叢を腸内フローラと呼ぶようになりました。
この腸内フローラが糖尿病や肥満などの生活習慣病、アレルギー疾患やうつ病などは腸内フローラのバランスが大きくかかわっていることが最近の研究で分かってきました。
2015年2月22日放送のNHKスペシャルで放送され大きな反響を呼んだのがその詳しい説明です。
腸内には善玉菌や悪玉菌と呼ばれる数百種類、数にして100兆個以上の細菌が住んでいてその細菌が出す物質が糖尿病やがん、肥満からお肌の健康、さらには脳やうつ病にまで関係していることが明らかになりつつあるのです。
この研究は、ワクチンの発見や抗生物質の開発に匹敵するほどの重大な研究なのです。
健康維持、増進のためには腸内の体に良い物質を出す善玉菌を増やし、悪玉菌を凌駕することがことが一番の手段なのです。
乳酸菌は通過菌だった。
善玉菌を増やしたければ外から補充してやればよい。
誰しもが思う事です、事実テレビでは乳酸菌飲料やヨーグルトの商品CMが溢れ返っています。
しかし、乳酸菌はもともと体に住み着いている菌以外は腸に住む付くことはできず、外から入ってきた乳酸菌は便として排出される通過菌であるのです。
通過菌であることは日本でヨーグルトが健康飲料として発売された当初からわかっていたことなのです。
しかしNHKスペシャルで放送を見た方が通過菌であることを初めて知ったことでヨーグルトなどで乳酸菌を摂取してもムダだという誤解をした方が少なからずおられます。
そして毎日続けていたヨーグルトの摂取を止めてしまったという人が続出したそうです。
通過菌でも乳酸菌は有効
もともと通過菌であることが分かっていたのになぜヨーグルトは健康飲料として販売され続けているのでしょうか。
乳酸菌飲料のCMを見てどのCMでも共通して強調していることは「毎日続ける」という事です。
そうです。通過菌だから効果がないという事はないのです。乳酸菌は通過している間にお仕事をしてくれるのです。
そのあたりの事をNHKは番組ためしてガッテン(2019年11月20日放映)の中でフォローしています。
世界中で腸内フローラの研究プロジェクトが立ち上げられている
先にも書いた通り腸内フローラの医学的研究は人類の寿命を飛躍的に伸ばした「ワクチンの開発」や「抗生物質の発見」に次ぐ第3の医療革命ともいわれています。
腸内フローラ移植
医療分野では健康な人の腸内フローラを腸内細菌のバランスが崩れてしまった人への移植が実際に行われています。
いわゆる便移植というもので「一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会」という臨床医と臨床検査技師が運営する国内唯一の学術的研究会があります。
移植といっても手術ではありません。
便ドナーバンクといって血液バンクみたいにドナーから採集した腸内細菌のバンクを作ります。
その中から超健康な複数人の腸内細菌をブレンドしてそれを腸への生着率や生着時間を飛躍的に向上させた腸内フローラを患者の肛門から挿入移植するものです。
移植してまで腸内環境を整えることが人体の健康と長寿にとっていかに大事か最近の研究で次々と明らかになっています。
興味のある方はリンクから確認してください。
腸内細菌のバランスとは
主な腸内細菌には次の物があります
種類 | 細菌名 | 生成物質と役割 |
善玉菌 | ビフィズス菌
乳酸菌 フェカリス菌、など |
乳酸、酪酸、酢酸を生成する
悪玉菌の増殖を抑える |
悪玉菌 | 毒性大腸菌
ブドウ球菌 ウェルシュ菌、など |
悪臭ガス
大腸がんの原因になる腐敗物質 |
日和見 | 連鎖球菌
無毒性大腸菌、など |
宿主の健康状態により役に立ったり有害と鳴ったりする。 |
腸内細菌のバランスは悪玉菌1に対して善玉菌2、日和見菌7の割合がベストとされています。
このバランスが崩れて悪玉菌が増えてくるとたんぱく質を分解して悪臭を放つガスや毒素を発生させ大腸がんを発生させやすくします。
また毒素が腸から吸収され各内臓に回ると様々な病気の原因となります。
善玉菌の生成物質(短鎖脂肪酸)の役割
善玉菌が作り出す物質でヒトに様々な良い効果をもたらすのが短鎖脂肪酸です。
腸内善玉菌が食物繊維を発酵させる際に生じる物質でヒトのあらゆる健康維持に影響しているといわれ、現在も盛んに研究が進んでいます。
短鎖脂肪酸のくくりの中で、ヒトの健康維持に関連したものは 酢酸、酪酸、プロピオン酸が代表的なものです。
これらの短鎖脂肪酸のヒトの健康維持の作用には次のようなものがあります。
ウキペディアより
近年日本でも増えつつある炎症性腸疾患は腸の免疫疾患です。炎症性腸疾患は治療法がいまだに見つかってなく難病指定されています。研究から患者の腸内細菌のなかの酪酸を生産する菌が減少していることが多いことから 腸内フローラの移植 により治療できる可能性が研究されています。