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ばね指とは
リハビリで勤務をしていると老若男女を問わず時々見かけるのがばね指です。
他の治療でリハビリを訪れている患者さんがドクターに言うほどの症状ではないと思って気軽に私どもに相談してくるケースが結構あります。
「指の付け根が痛いんですけど、ドクターに言ってもいいですかね」などと申し訳なさそうに相談されます。
「曲げ伸ばしで音がしませんか?」と聞くと大概「時々、ポキッてすることがあります。鳴ると飛び上がるぐらい痛くて」と返ってきます。
そんな場合は即、先生の受診を勧めます。
それは「弾発指」です。
ばね指は弾発指ともいうのですが、指の腱鞘炎みたいなものです。
だいたい、指と手のひらの境の関節で起こります。痛みもその場所に圧痛があります。
中指、薬指、親指が圧倒的に多く、人差し指や小指はあまり見た記憶がありません。
原因は指の使い過ぎ
昔、スーパーのレジが今の様なバーコード読み取りでなく、テンキー式だった時代、スーパーのレジ係さんの職業病といわれていました。
つまり指を酷使する方がなり易い病気です。
また、糖尿病や人工透析患者さん、リウマチ患者さんは罹り易いとされています。
指が曲がるのは、屈筋腱といって前腕にある筋肉が腱に移行し指先につき筋肉が収縮することで、指が曲がります。
しかし、腱には押さえがないと浮き上がってしまいうまく力が伝わりません。
その押さえを靭帯性腱鞘といって滑車のような役目をして筋肉の収縮がうまく指に伝わるよになっています。
しかし、やはりそこには摩擦が生じる事になって、酷使すると腱やその腱鞘に炎症を持ってきます。
最初の内は押さえると痛みが出る程度ですが。
しかし、適切な治療をしないと、だんだん腱が腫れて太くなったり、腱鞘が変性して穴が狭くなったりしてスムーズに滑車の作用ができなくなり指の曲げ伸ばしがしにくくなります。
当然曲げ伸ばしに痛みが出るようになり、曲げ伸ばしに貼れた部分が狭い腱鞘を潜り抜ける際に音がするようになります。
ある程度まで曲げると抵抗が生じ痛みを我慢しながらさらに曲げると肥厚した腱が狭窄した腱鞘をすぽっと通り抜ける際に音がしたように感じます。
曲げる際も同じことが起きます。この現象がいわゆるばね指と呼ばれる所以でしょう。
それでも、いずれは治るだろうと楽観的な患者さんが多く、相談される時にはかなり症状が進んでいる方も結構おられます。
そのまま治療せずに放置すると最終的には肥厚した腱が腱鞘を通り抜けできなくなり指が曲がったまま、もしくは曲がらなくなってしまいます。
弾発指(ばね指)の治療
とにかく整形外科の先生に受診してください。
治療方法は、発症してからの時間経過によりずいぶん違います。つまり症状の進行次第という事です。
基本的には安静を保つために指の固定が必要になります。
つまり、酷使により炎症を持った症状ですから、当然酷使、は禁忌です。
それ以上に動かす頻度を下げるかもしくは動かせないような固定が必要になります。
初期であれば外用薬と指の固定で様子を見ていくでしょう。
改善が見られなければステロイド剤を局所麻酔薬に混ぜて腱鞘内に注射することもあります。
それでも尚、改善しない場合は手術になります。
手術といっても簡単で、切開する箇所も小さく心配するようなことはありません。もちろん通院でできます。
とにかく指の付け根が痛いと感じたら、まず整形外科の先生に診てもらうことが治癒を早めることに繋がります。
手術することは余程の重症の場合なので手術を恐れて病院へ行くのをためらう事のないようにしましょう。